【理事長インタビュー】~2019年を振り返る~
こんにちは、事務局長の清水です。
師走を言い訳にインタビューブログを前回(先月掲載の第1回)で終了させてしまうところでしたが、年末ギリギリのタイミングでお話ができました。
それでは、伊谷野先生よろしくお願いいたします。
▼伊谷野先生のインタビューはこちらから
—————————————————————
ーーーークリスマスが終わったタイミングですので、2019年を振り返りたいと思いますがよろしいでしょうか?
伊谷野:
色々あったので忘れちゃってますよね。笑
ーーーーGoogleカレンダーを見ながら、まずは上半期から振り返りましょう。(*当院は主にGoogleカレンダーでスケジュール管理をしています)
伊谷野:
改めて振り返ると例年に比べて人材育成について考える機会が多かったですね。
ーーーーと、言いますと?
伊谷野:
多職種で良い人材が続々と入職しています。
在宅医療は院内外含めた意味での『多職種のチーム力』が地域の安心につながると確信しているので、個々の力が発揮できる仕組みづくりは中長期的に取り組む内容ですよね。
ーーーー医師で言うと、上半期は西原先生の職場復帰と浅井先生の入職がありましたね。
伊谷野:
そうですね。医師以外の職種でも、産休育休取得者や子育て中の職員が増えてきましたので、時短勤務やフォロー可能な複数名体制のオペレーションを活用しはじめましたね。
働きやすい環境は今後も職員の意見も取り入れていきながら模索していければと思います。
また、浅井先生は若手のうちから在宅医療に携わりたいということで常勤医師として入職しました。
近年では若手の先生からそのように言っていただけるケースが増えてきたので個人的にも嬉しいです。
浅井先生の患者さんやご家族の声に耳を傾ける姿勢からも伝わる真摯な対応は、安心を感じていただけているのではないかと思います。
これからも良いところは活かしていきながら在宅医療ならではのキャリア形成を続けてほしいですね。
院内に目を向けても、浅井先生の入職で職場が活気づいたと感じますので院内外に好影響を与えていると思います。
ーーーー当院でも日本在宅医学会 認定施設としての研修プログラムがスタートしました。
伊谷野:
教える立場としても、知識や技術の棚卸しをする良い機会になりました。
在宅医療に興味のある先生から「胃ろうや腎ろうの交換に不安がありますが、大丈夫でしょうか?」「経鼻胃管チューブの対応に不安がありますが、大丈夫でしょうか?」といった手技に関わる質問が多いのでこの場で回答します。それらは意欲があれば問題ありません。
専門の違う様々な診療科の先生から学べますし、不安な領域があれば同行しながら覚えることができる職場環境です。
ーーーー話は変わって2019年6月でファミリークリニック品川が開設1周年を迎えました。
伊谷野:
そうですね。三原先生がファミリークリニック品川の院長に就任して、三原先生を中心に法人の基本方針である『断らない在宅医療』を実践していただいています。
地域の特性もありますが、想定したよりも医療依存度が高い患者さんの割合が多いですよね。
加えていわゆる困難事例も多いですが、三原先生チームの日頃の迅速な対応に感謝ですね。
実際ひとつひとつの事例に向き合っていく中で、先日ケアマネジャーさんより「新規対応や緊急往診時の迅速さが頼りになります」とフィードバックをいただきました。
本当に有り難いし、励みになる言葉ですよね。
ーーーー嬉しいですね(^^) 下半期のトピックスは田代先生の入職と在宅緩和ケアセンターの開設でしょうか?
伊谷野:
下半期もかなり大きな変化がありましたね。
日本緩和医療学会認定医の田代先生の入職により、当法人が日本緩和医療学会 認定研修施設になりました。
もともと当法人が断らないという姿勢で日々の診療を行っていると緩和ケアの領域を求められることが多かったので、田代先生の入職により、地域に求められている領域にさらなる厚みをもたせることができました。
そして、日本緩和医療学会 研修施設の認定とともに地域に『在宅緩和ケアセンター』開設をお知らせすることにしました。
さきほどお話したような若手の先生や緩和ケアに興味のある多職種人材の育成の場という観点からも非常に頼りにしています。
ーーーーいまさらの質問ですけど、そもそもなぜ緩和ケアの領域は難しいと言われているのでしょうか?
伊谷野:
100人いれば100通りの調整が必要という点ではないかと思います。
緩和ケアの領域は科学的に手順通り対応していくわけではなく、患者さんに穏やかに安心して生活していただくために、様々な背景を考慮していきながら行う薬の調整や他サービスとの連携を考え調整していくオーダーメイドの対応になります。これは人材育成を含めて、言葉以上に難しいですね。
私自身も当然すべてを1人で対応できるわけではないので、院内外のチーム力が求められます。
ただ、難しい領域だからこそ、当院で掲げた『成長のできる連携』をテーマに関わる人が安心できる地域社会づくりに力を入れていきます。
下期からは、顔の見える連携をもう一歩踏み込んで『成長のできる連携』を目指して、近隣の病院や訪問看護ステーション、居宅介護事業所などと合同カンファレンスや勉強会を積極的に行っています。
日頃の振り返りとしても良い効果が出ていると思いますので、継続していければと思います。
ーーーーありがとうございます。そろそろお時間がきてしまいました。来年初回のインタビューは2020年の方針のお話でよろしいでしょうか?
伊谷野:
そうですね。年末年始に改めて考えてみます。笑
【理事長インタビュー】私の医師キャリアのスタート~ファミクリ開業までの話
こんにちは、事務局長の清水です。
今回を理事長ブログの記念すべき第1回として、医療法人社団 双愛会 理事長の伊谷野先生にインタビュー形式でブログ記事を作成していければと思います。
長続きさせていきたい企画なので、ランチなどで不定期にゆる~く始めさせてください。笑
それでは、伊谷野先生よろしくお願いいたします。
▼伊谷野先生のインタビューはこちらから
—————————————————————
ーーーー伊谷野先生、まずは医師になった最初のキャリアから教えてください
伊谷野:
懐かしいですね。笑
1998年に昭和大学医学部卒業後、昭和大学医学部第一外科学胸部心臓血管外科に所属したところからキャリアがスタートしました。
正直、ジェネラリストになるのかーーー、はたまたスペシャリストなのかーーー、非常に迷いましたが、体力のあるうちにとことん急性期医療に携わろうと考えて、外科の道を歩むことを決断しました。
ーーーー心臓血管外科はかなりハードと聞きますよね。実際はどうだったのでしょうか?
伊谷野:
はい、かなりハードでしたね。。正直、家庭を犠牲にして没頭していました。
それでもハードな分、仕事を重ねれば重ねるほど技術が上がります。
自分の成長を実感することができ、緊張感がありながらも毎日が充実していたとも言えますよ。
ただ一方で、一般外科を研鑽し、次は胸部外科を、次は心臓血管外科を、、と専門を追求していけばいくほど、年月が経過すればするほどに、次第に扱う領域が狭く絞り込まれていく。
技術を磨けば磨くほど、専門性が深堀りされていくことになります。
それは該当する病気の患者さんのためには力を発揮することができますが、自分の専門以外の病気にはどんどん関われなくなっていくことにもつながります。
「多くの人の役に立ちたいと思って医療の世界に入ったのに…」というジレンマもよぎるようになってきて、当初の考えからギャップが大きくなっていくことも感じていたんですよね。
このままスペシャリストの道を究めて突き抜けていくのか、それとも一般的な診療もこなすジェネラリストへと方向転換するのかーーー。
改めて考えた末、ジェネラリストの道を捨てきれずにメスを置くことを決断しました。
ーーーー30代前半~半ばにかけての決断ですよね?そして当時はまだまだ歴史の浅い在宅医療。結構思い切りましたよね?
伊谷野:
まー、やってみないとわかりませんからね。
2000年に介護保険制度が始まったのをきっかけに、在宅医療が注目されるようになりました。
とはいえ、それをやるクリニックは、私が開業した2005年当時、極端に少なかったです。
なぜなら、在宅医療に携わるには、基本的には病院と同じ体制、つまり365日24時間対応する必要があり、そう簡単には個人創業できないからです。
ただ、流れとしては在宅医療に向かっていくことが国の方針としても示されていました。
一般外来クリニックを始めても、結局は何らかの専門に特化しないと地域に選ばれないかもしれないーーー。
それなら、総合的医療に携わることのできる在宅医療でいこうと思ったのです。
24時間体制については、「今までの外科時代でハードな勤務を積み重ねてきたし、緊急対応も頻繁に行っていたので、自分一人でもなんとかなるかな」と、つまり今までの経験と気合いでなんとかしようとスタートを切りました。
ーーーー開業スタートはどんな感じでしたか?例えば病院勤務医時代との違いはいかがですか?
伊谷野:
在宅医療を始めて、気づいたことがありました。
それは、在宅医療には、救命救急や外科で患者さまが劇的に良くなることと引けをとらない『やりがい』があるということです。
在宅医療は、自分のした努力に対して患者さまやご家族様からの反応がダイレクトに返ってきます。
病院の外科医時代と比較して感謝の気持ちが伝わってくる数と温度感が桁違いだと感じたんです。
これは医師として、素直に嬉しいことですし、日々の診療の励みになりました。
患者さまやご家族様との距離が断然近いという点は、やはり実際にやってみないとわからないものでしたね。
ーーーーなるほど。良い話ですね~。今回はここまでにして、また色々とテーマを考えますのでインタビューさせてください。
伊谷野:
ありがとうございました。
私も話したいテーマを考えておきます。